テツのひげさんの元発言の趣旨は、会話の流れから察するに、『朝日ジャーナル』80年8月8日号に掲載の対談記事を図書館でコピーして入手することが違法か適法か、ということでしょう。 結論から申しますと適法です。ただし、テツのひげさんのおっしゃっていることは、結論は正しいですが、そこに至る理屈のつけ方が間違っています。「関じゃり研」のサイトが著作権法に対する誤認を広めるようなことになってはまずいかと思い、指摘することにしました。
と偉そうに言ったものの、私も著作権法に関してはごく初歩をかじっただけで、専門家でも何でもありません。そのため、テツのひげさんの間違いを指摘しながら、私自身の発言に間違いが含まれている可能性も十分あります。
以下に私の分析を述べますが、上記のことをご了承の上でご覧下さい。識者のご批判をいただければ幸いに存じます。
まず、元発言で言われているのは、著作権法第30条に規定されている「私的使用のための複製」の話です。しかし、元発言中の「自分」とは、この場合は、その著作物の所有者のことですよね?
件の朝日ジャーナルの件では、雑誌を所有しているのは図書館であり、「図書館がコピーして利用者に配布する」という形になります。したがって、第30条の「私的使用のための複製」には該当しません。テツのひげさんがおっしゃっている通り、欲しい人誰にでも配ってあげていいわけではないからです。
では、どうなるのかというと、この場合は、別途、著作権法第31条に、「図書館等における複製」に関する規定があります。同条第1号によれば、次の場合は図書館等において著作物を複製することができる、と規定されています。
「図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあっては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合」
ここで、かっこ書きの「発行後相当期間を経過した定期刊行物」とは、例えば、次号が既に発行されていて通常の入手経路では入手できなくなってしまった雑誌などが該当するそうです(参考文献:著作権法令研究会 編著、社団法人著作権情報センター 発行「著作権法ハンドブック」)。80年8月8日号の『朝日ジャーナル』は、どう考えてもこの場合に該当しますから、そこに掲載された個個の著作物のうちの一つである対談記事を全部コピーすることは差し支えない、ということです。
また、上の条文に書いてある通り、「調査研究」目的であることが必要です。私は自分で国会図書館に資料請求したことはほとんどないのですが、おいちょさんによれば下記のとおりですね。
> 国会図書館は、研究の優先度と、書類の完成度で資料を出す順番が前後します。趣味のため、書類不備なんてことになると、へたすれ > ばつきかえされますので要注意。
以上、長々と述べてきましたが、先程も言った通り私は著作権法の専門家でも何でもないので、この分析内容に関して責任は一切持てません。皆様も、どうか私の言うことを頭から信じ込まず、必要であればご自分で勉強なさってください。