堅気屋倶楽部
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「鑑別所」について [ 馬牛 ] 07/02/12 19:44
 作品中で言及される「鑑別所」について、疑問を述べます。

 菊地氏の「竹本家の歴史」にあるように、少年鑑別所は家庭裁判所に送致された非行少年または今後非行に至る可能性が強いと考えられる虞犯少年を一時的(2週間乃至4週間、ただし少年が非行事実を否認している等の場合更に2週間ずつ延長され、最大8週間)に収容し、言動を観察するなどして少年審判での処分決定に参考となる報告を家庭裁判所に提出する施設ですが、作品中の「鑑別所」に関する描写からは、上述した現実の少年鑑別所とはかなり異なる印象を受けます。

(1)    テツの入所期間が長すぎる。
 上記の少年鑑別所の収容期間についての規定からすると、「竹本班」の班員たちと一緒に収容されていた期間は、どんなに長くとも二ヶ月弱(彼は班員中最古参で班長でした)です。竹本班の班員全員が示し合わせて非行を犯し一時期に入所したとか、全員が非行事実を認めなかったというわけでもないでしょうから、班員の中にはテツと一緒に少年鑑別所にいたのは数週間という者もいたはずです。出所後二十年程度を経て同窓会を開く仲にまで至るとは、信じ難く思われます。

 また第三十一部でやはり「鑑別所」に収容されていた“ヨーデル”サトミは、テツよりも後に入所し、テツよりも先に出所します。サトミ入所の時点でテツは所内で相当幅をきかせており、他班の入所者を威圧しています。

(2)「鑑別所」外部との接触
 少年鑑別所は未決監の一種ですから、外部との接触はかなり制限されるのではないかと思います。にも関わらず、

 「鑑別所」が入所者宛の手紙を本人に渡す前に開封して調べていない(第十七部3話)。差出人が小学校の担任だから、というのは理由になりません。本当に恩師からの更生を促す手紙なのかどうか調べるのでは。世の中には人気俳優市川雷蔵を詐称する者もいるのです。

 花井拳骨夫人、ミツルと面会している(第十四部11話)。いかに懇意にしている担任教師夫人といっても親族ではありませんし、当時のミツルとの関係は「悪友」と称されるべきものだったのでは。

 他の「鑑別所」の収容者との交歓会。…まさか。

 以上の点から、私は作品中の登場人物が「鑑別所」と言う場合、非行少年等が収容される施設(少年鑑別所、少年院、教護院等、ただし教護院については現在、児童自立支援施設と称するようですが)を一括して指しているのだろうと理解しており、釜地が所長を務めていた施設は、多分少年院なのだろうと考えております。犯罪に関係するなど考えたこともない人間が、留置場、拘置所、刑務所がどう違うのかよく分らず、まとめて「オリの中」と考えているように。
 ただこの見方には難点もあります。第七部12話の「鑑別所」の同窓会で乾杯の音頭をとった戸黒(当時)が「大和鑑別所」と明言していることです。所長だった彼が鑑別所と少年院とを区別できないとは考えられず、嘗ての入所者が皆「鑑別所」と言うので調子を合わせておくことにしたのだろう、と付会してはいるのですが。

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