思ったような内容じゃあなかったのが残念。『生き方』って言ってる割には、登場人物達の役割分析に徹してしまって、生き方については掘り下げられていないのね。自分なりに、今までの研究から思う『「じゃりン子チエ」という生き方』とは、かたひじ張らないで生きていこうとゆうか、プライドやロマンといったことへのアンチテーゼ、世の中、そんなにまじめになるとつらいでしょ、という生き方だと思うんよね。
今日いやなことがあっても、『明日は明日の太陽がピカピカやねん』という生き方だと思う。内容は決して悪くないんだし、こういう本が出る余地がまだ世の中にあるんだという意義は十二分にあるんだけど、なんかしっくりこない。
それには少なからず、無意識的にしろジェラシーが含まれているせいもあるのだろうけど、最初の章で、「テツの存在意義」を求めているのに、とにかく引っかかってしまった。さっきも言ったように、「じゃりン子チエ」は、生きるのに意義を求めている漫画ではないと思うからだ。
理想の男であることを求め続けるテツや(その理想は常識的に逸脱したものなのだが)、まじめに考えすぎてノイローゼになってしまうジュニア、そういう男達に、「まじめになったら損」と投げかけているチエ達の言葉にこの漫画の神髄はあると思う。
自分も前から言ってるし、この本の前書きにも書いてあるように、「じゃりン子チエ」の捉え方は人それぞれ違ってもいいと思うし、また違うべきだと思うんだけど、この本は、なんていうか、真新しいことはあまり見受けられなくて(研究者としてはわれわれの方が年季が入っているという理由が多大にあるが)、単なる無難な本に終始してしまっているのが残念。